パラアスリート講演会

[講師]
 

澤田優蘭さん

パラ陸上選手(走り幅跳び/100m)。東京パラリンピック2020では、ユニバーサルリレーで銅メダルを獲得。
 

塩川竜平さん

自身の陸上競技経験を活かして、澤田選手専属の競技パートナー(ガイドランナーおよびコーラー)として活動。

 

 当社では、誰もが活躍できる社会の実現を目指し、パラスポーツへの理解を深める活動の一環として、日本パラ陸上選手権大会の応援や社内講演会などを開催しています。
 2022年7月、パラアスリートの澤田優蘭さん、競技パートナーの塩川竜平さんをお招きして、社内講演会を行いました。お二人のこれまでの歩みやパラ陸上の競技ルール、さらには銅メダルを獲得した東京パラリンピックでの経験などを、写真やクイズも交えながらお話しいただきました。
 

絆と声で、チームプレー。

 子ども時代から大のスポーツ好きだった澤田さんですが、病気による視力低下で、一時はスポーツから離れました。そして高校生の時にパラスポーツと出会い、再び「夢を叶えたい」とパラ陸上選手としてスタート。以来、さまざまな舞台でチャレンジを続けてこられました。

■澤田さん(選手)

 「中学生の時に視覚障害となり、スポーツはおろか、通常の生活ができないと人生に絶望しましたが、少し助けてもらえさえすればこんなにスポーツを楽しめるんだと気づきました。絆があるから安心して走れる、声があるから安心して跳べる。塩川さんをはじめいろいろな人に支えられて、ここまで来ました。」

 澤田さんの専属ガイドランナーおよびコーラー(かけ声や手拍子で選手に知らせるガイド役)として活動する塩川さんは、陸上の名門大学に入り、卒業後はスポーツトレーナーを目指すために専門学校に入学されました。そこで出会ったのがガイドランナーという仕事。目指しているものは、健常者も障害のある選手も同じと気づき、ガイドランナーの道を志すようになりました。

■塩川さん(ガイドランナー/コーラー)

 

 「ガイドランナーがフライングしたり、選手より早くゴールすると失格になります。陸上は基本的に個人種目ですが、私たちは常にチームプレー。緊張感の中で共にレースに臨んでいます。」

次こそ金メダルで、恩返し。

 世界大会に出場するたびに世界のレベルを痛感し、この人たちと肩を並べたいと感じたという澤田さん。怪我などで伸び悩む時期もありましたが、2017年に塩川さんと出会い、二人でメダルを目指すようになりました。
 2018年のアジアパラ競技大会では100mで金メダル、ユニバーサルリレーで銀メダルを獲得。2021年に行われた東京パラリンピックでは、ユニバーサルリレーで銅メダルを獲得しています。

■澤田さん(選手)

 

 「走り幅跳びでは金メダルを狙っていたので悔しい思いはあります。2024年のパリパラリンピックでは、次こそ金メダルを取って、お世話になった方々に恩返しがしたいです。」

行動が思考を変える。

 講演の最後には質疑応答が行われ、活発な意見が交わされました。
 「パラリンピックの場で自分をどうコントロールするのか」という質問には、澤田さんから「もちろん緊張はしますが、あえて笑顔を作るようにしています。『行動が思考を変える』、笑顔で気持ちをポジティブにして自分をコントロールすることを心がけています」という答えをいただき、会場の人たちも大きくうなずいていました。
 また、日本でのガイドランナーの現状についての質問には、「日々、試行錯誤で、過去の映像を見たりしながら模索しています」(塩川さん)、「エキスパートを育てる環境がある国もあるので、日本でももっと増やしていければと思います」(澤田さん)とのお話がありました。
 ボランティアとして東京パラリンピックに参加した当社社員が、澤田さんと塩川さんが銅メダルに輝いたユニバーサルリレーに関わっていたエピソードも紹介されました。

■みずほリース社員
 片岡裕介/人事部 副部長(2022年9月現在)

 

 「東京パラリンピックでは審判員として、お二人が出場したユニバーサルリレーのビデオ判定も担当しました。世界中から集まった人々と陸上競技を通して、国や言語の違いと同様に、障害のあることを当たり前のこととして受け入れ認め合う、濃密な時間を過ごすことができました。」

 終始和やかな雰囲気の中で行われた講演会。さまざまな学びと発見のある1時間となりました。あらゆる人たちが活躍できる多様な社会づくりの支援に、当社はこれからも精力的に取り組んでいきます。